ほろ苦さが美味しい菜の花。春だけしか食べられない、季節の味覚ですね。
そんな菜の花ですが、調理する際にアク抜きが必要だという人と、必要ないという人がいますよね。本当はどちらがよいのでしょうか?
今回は、栄養士の資格を持つ私が、菜の花のアク抜きが必要な場合とその方法、また美味しい茹で方と苦味を抜く方法についてご紹介します。
菜の花はアク抜きが必要?それとも不要?
菜の花はアク抜きが必要かどうかについては、人により意見が分かれるところ。
結論からいうと、使う料理によりアク抜きが必要な場合と不要な場合があります。
具体的には、
- おひたし・サラダ・和え物にする場合は、短時間でアク抜き・下茹でをする。
- 炒め物・天ぷら・鍋物にする場合はアク抜き・下茹で不要。そのまま使えます。
ということになりますね。
おひたしなど、ダシなどの味付けでシンプルに味わう料理の場合、菜の花の苦味が気になることがあります。そのため短時間で軽くアク抜き・下茹でをしましょう。
それに対し、炒め物や天ぷらなどの場合、調理で油を使うことにより苦味がコーティングされて気にならなくなるため、アク抜き・下茹でをしなくても美味しく食べることができます。
苦いものがどうしても嫌いということでなければ、アク抜きや下茹でをせずにそのまま調理するほうが菜の花の美味しさを味わえますよ。
菜の花のアク成分とは?ほぼアク抜きが不要な理由
そもそも「アク」とは、食材に含まれる苦味・渋味・えぐみなどを感じさせる成分を総称したものです。
例えば、ほうれん草の場合、アクとは「シュウ酸」という成分を指します。
シュウ酸は食べすぎると尿路結石の原因になることもあるため、ほうれん草はアク抜きをするほうがいいのです。
しかし菜の花でいうアクは主に「ケンフェロール」という成分です。
ケンフェロールはポリフェノールの一種で、抗酸化作用が高く、免疫力を高めたり血液をサラサラにしてくれる効果もあるため、むしろ体に良い成分。
また菜の花には、抗酸化力の高いイソチオシアネートや、ビタミンB1・B2、ビタミンCなどが豊富に含まれています。これらは水溶性の成分なので、長時間茹でたり、水にさらしたりすると、せっかくの体に良い成分が流れ出てしまい、もったいないんです!
ちなみに菜の花にもシュウ酸がごく微量に含まれてはいますが、ほうれん草の1/20とわずかなので、味や健康に影響を及ぼす心配はありません。
菜の花の美味しいアク抜き・下茹での方法
おひたしや和え物などの料理に使う場合の、菜の花の栄養をできるだけ逃さずにアク抜き・下茹でする方法をご説明しますね。
1.茹でる前に水にさらす
生のままの菜の花を、水を入れたボウルに入れて10分ほどさらします。
これだけで、ある程度のアクは抜けます。
水にさらしたあと、ザルにあげて水を切っておきます。
2.熱湯で短時間茹でる
お湯を沸騰させた鍋に、水を切った菜の花を入れて茹でます。
菜の花の茎の太さにもよりますが、時間はおよそ30秒程度が目安。
茹で過ぎないように気を付けましょう。
3.そのままザルに上げて冷ます
茹で終わった菜の花をザルに上げて、そのまま冷まします。
平らなザルを使うのが理想的ですが、持っていない人のほうが多いと思いますので、普通のザルでも大丈夫。
普通のザルを使う場合は、写真のように菜の花の真ん中を空けるようにして、熱がこもらないようにするといいですよ。
水にはさらしません。水にさらしてしまうと水溶性の栄養成分が流れ出てしまうだけでなく、菜の花のつぼみの部分に水が溜まりやすいため水っぽくなってしまうんですよね。
冷めたら軽く絞って料理に使いましょう^^
菜の花の苦味を抜く方法
菜の花はその苦味を楽しむ野菜ですが、子どもが食べる場合などは苦味をできるだけ抜きたい場合もありますよね。
ここでは菜の花の苦味を抜く方法をご紹介します。
和からしを入れたお湯で茹でる
菜の花を下茹でするお湯に、和からしと塩少々を入れて茹でます。
和からしの量は、お湯が白くにごる程度の量でOK。また、チューブの和からしでもいいですし、納豆に付いていた和からしを利用するのもいいですね。
和からしを入れて茹でることで、お湯だけの場合に比べて、苦味を減らすことができますよ。
重曹を入れたお湯で茹でる
菜の花を下茹でするお湯に、重曹を入れて茹でる方法も、苦味を抑えることができます。
加える量は、水1リットルに対して重曹小さじ1程度が目安です。
重曹を入れて茹でる場合は、茹で上がった後にサッと水にさらしましょう。
まとめ
菜の花のアク抜きが必要な場合と不要な場合、また美味しくアクを抜く茹で方と苦味を抜く方法についてご紹介しました。
菜の花のアク成分は体に良いものなのですが、苦いのが苦手な人や子どもには食べにくいかもしれません。
そんなときはぜひ今回ご紹介した方法を試してみてくださいね。